セミナーにはオンラインを含め約100人が参加。最初に、二酸化炭素利活用事業の一環で藻類ビジネスを推進する佐賀市のバイオマス産業推進課と、豊かな自然環境と地域資源を生かしたコスメ産業の集積をはかる佐賀県のコスメティック産業推進室がそれぞれの事業の背景と現状を説明しました。
これを踏まえて佐賀大学さが藻類産業共同研究講座の出村幹英准教授が微細藻類の特徴を紹介、高い保湿性や抗酸化作用などを持つ「藻類オイル」が化粧品素材に適していることを示しました。その上で大量培養や抽出技術の確立など生産工程における課題も挙げ、「商品開発にはいろいろな業界の連携が必要」と述べました。
佐賀県産素材の化粧品への活用を研究する佐賀大学化粧品科学講座の徳留嘉寛教授は、化粧品開発には人間の体の仕組みを熟知する技術者や、法律に詳しいスタッフなど多様な人材が必要であると指摘。加唐島のツバキ油を使った製品の開発などを例に挙げながら、素材の生産環境が品質に影響を与える可能性があることにも言及しました。
協議会会員で、培養した藻類から抽出した成分を用いた化粧品などを商品化している㈱アルビータの中西元社長は、同社のこれまでの歩みやアスタキサンチンオイルの生産工程を紹介しました。同社の施設を使って、㈱熊谷組や花王㈱が新しい事業に挑戦していることにも触れ、「私たちは経験を生かして藻類の活用についてサポートできる。いい結果が出ると確信している」と述べました。
化粧品・医薬品の評価試験を請け負う㈱ニコダームリサーチの矢作彰一社長は、化粧品素材開発における安全性評価について事例を挙げて解説。「有効な安全性データを得るには、厳密に規格規定された安定した製造方法や素原料の安定供給が必要になる」とし、新素材開発成功のカギは「開発・製造・サプライヤー(供給元)・ロジスティクス(サプライチェーン全体の管理)の連携」にあるとしました。