(一社)さが藻類バイオマス協議会(SABC)は3月30日、バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」による藻類事業創出プロジェクト「MATSURI」との共催になるセミナーを佐賀市清掃工場で開きました。「『藻』で夢をかなえる。HondaとMATSURIの未来の産業づくり」をテーマに、Hondaが生み出した微細藻類「Honda DREAMO」の開発責任者である㈱本田技術研究所の福島のぞみさんと、ちとせグループ執行役員Chief Bio Engineer星野孝仁さんのトークセッションの形で進めました。
福島さんは、Hondaの「人類の課題解決に向けて行動する」という理念が藻類研究の根底にあるとした上で、光合成でさまざまな有価物を作る藻類には二酸化炭素(CO2)削減効果はあるものの、現状では培養プロセスに必要なエネルギー生成などで排出するCO2の割合が高いと指摘。培養プロセスでの排出低減に向けて、温度調節の必要がないシステムや、生産量を落とさない培養液のリサイクル技術の開発に取り組んでいることを説明しました。「Honda DREAMO」については「アミノ酸スコアや抗酸化作用が高く代替肉やサプリメントの原料になる可能性が高い」と解説し、「社会貢献の面では代替タンパクとして食品に生かし、世界の貧困地域の子どもたちに届けたい」と話しました。
また、培養におけるコンタミ(不純物混入)対応の難しさや、培養液の栄養塩の調整などについて星野さんと意見交換。星野さんは、ちとせグループがマレーシアで稼働した世界最大規模の藻類生産設備でも日々さまざまな課題に直面しているとしながら「一つ一つ課題を解消することで技術を蓄積できていると思う」と述べました。
セミナーには、当協議会とMATSURIに加盟する43社・機関からWeb聴講を含め約80人が参加。現地参加者は、佐賀市清掃工場で分離回収したCO2を利用して微細藻類を培養する㈱アルビータを見学し、CO2の産業活用の実際について理解を深めました。
「MATSURI」については、下記URLのサイトをご参照ください。
世界初!藻類を活用した日本初の企業連携型プロジェクト『MATSURI』
https://matsuri.chitose-bio.com/