藻類って何?

 「藻類」は、一般的な光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称です。水中はもちろん、地球上のあらゆる環境に生息しています。ノリやワカメ、コンブなどが身近な大型藻類ですが、多くは顕微鏡でしか見ることができない小さな生物(微細藻類)です。

 藻類は、光合成により二酸化炭素を吸収して糖類を合成し、酸素を放出します。また、栄養分として窒素やリンを吸収するため、水質浄化に利用することもできます。

 <地球環境を一変させた藻類>

 微細藻類はかつて地球環境を一変させました。今から27億年前、微細藻類シアノバクテリアが大気中に大量の酸素を放出。それまで主に二酸化炭素と窒素から成っていた大気の組成を変えてしまいました。この大気の変化にともなって、生態系も転換。光合成を行う植物や藻類を食物連鎖の出発点(一次生産者)とする、現在の生態系の基礎が出来上がりました。

 

微細藻類の活用

 微細藻類は、体内に糖質、タンパク質、ミネラル、食物繊維、脂質を含んでいます。タンパク質の含有量は乾燥重量の35%~68%で肉類並みとされます。種類によっては、糖類合成の副産物として菜種や大豆の数十~数百倍の油を産出します。また、人間にとって有用なさまざまな成分を作り出すものもいます。こうした特徴から、微細藻類は、食や健康、環境、工業など多方面での活用が考えられています。

 現在、ヘマトコッカス、ユーグレナ(ミドリムシ)、スピルリナ、クロレラ、ドナリエラなどが商業化されています。

 このうちヘマトコッカスは、生育に適さない環境に置かれて強いストレスにさらされると、防御反応として色素の一種であるアスタキサンチンを合成・蓄積します。アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、疲労回復や美肌、アンチエイジングなどに効果があるとして機能性食品などに利用されています。

 ユーグレナは水田や池、湖沼などの淡水に生息しています。植物と同じように光合成を行いますが、鞭毛という触覚で動くことができ、植物と動物の両方の性質を持っています。ユーグレナは一定の条件で体内にワックスエステルという油をためる性質があり、化石燃料に代わる地球にやさしい燃料として注目されています。      

 

 藻類が持つポテンシャル      アスタキサンチンサプリメント

                                                                           (画像提供:株式会社アルビータ)

 

 

バイオマスとは

 バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉で、「太陽エネルギーを使って生物が合成した資源で、化石燃料を除いたもの」を指します。生命と太陽がある限り枯渇せず(再生可能)、また微生物によって分解され環境中に安全に還元することができるものです。

 現在、利用技術の発達によって様々なものが「バイオマス」として利用されています(図参照)。バイオマスも燃焼によって二酸化炭素(CO2)を放出しますが、これはもともと生物が成長過程で光合成により吸収したCO2です。そのためバイオマスは燃やしても大気中のCO2量を増やしません(カーボンニュートラル)。

 CO2を増やさないバイオマスを化石資源由来のエネルギーや製品と代替することは、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出削減に貢献することになります。

 

バイオマス産業都市さが

 佐賀市は2014年、「暮らしから発生するごみ・廃水など、廃棄物であったものがエネルギーや資源として価値を生み出しながら循環するまち」を将来像とする、バイオマス産業都市(※)構想を策定しました。バイオマスの原料収集・生産から利活用までを一貫して行うシステムを構築し、地域の特色を生かしたバイオマス産業を育成することで、環境にやさしいまちをつくる取組です。

 核となるのは、ごみを焼却する佐賀市清掃工場と下水を処理する佐賀市下水浄化センターです。清掃工場では、ごみ焼却時に発生する熱を利用して発電し市立小中学校に電気を供給するほか、排気ガスから高濃度のCO2を分離回収して藻類の生育に活用しています。

 下水浄化センターでは、下水処理時に発生した消化ガスで発電しセンターの使用電力の一部を賄う一方、下水処理でできた汚泥を肥料化し市民に提供しています。

 微細藻類の培養による新しい産業の創出も、バイオマス産業都市構想の柱の一つです。清掃工場や下水浄化センターで発生する二酸化炭素などを活用して微細藻類を培養し、その藻類から抽出した有用成分やオイルを使った健康食品や化粧品、エネルギー関連の新たな産業の集積をはかることを目指しています。

※「バイオマス産業都市」は、2013年度から国の関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で選定しており、全国で83市町村が選定されています(2019年4月現在)。佐賀市は2014年11月、九州で初めて選定されました。

 

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